運営会合
ISOE第8回運営会合

首記会合が、平成10年10月27日、28日に、OECD本部(パリ)で実施された。出席者はDr.Miller議長始め14カ国から35名であった。日本からは、OECD日本代表部、アジア地域技術センターとして当センターから参加した。
会合では、ISOEの1998年度活動状況と1999年度の目標及び活動計画に関し審議が行われ承認された。

以下にトピックスを紹介する。

1 北米地域技術センターからの報告
NRCは放射線防護に関する規制改革にまでリソースを割けないことから、産業界が提案を行っている(ISOEデータベースを規制のツールとするのもその一環)。
NRCが進めているリスクインフォームド・パフォーマンスベース規制によりコストのみならず被ばく線量においても低減が図られる。ミルストーン3号とサリー(PWR)で実施したパイロット研究では、ISIを65〜84%削減しながら配管破断のリスクを半減できた。これにより、点検停止時における被ばく線量は0.1〜0.15Sv・人削減できた。
2 ワーキング・グループの活動
3つのワーキング・グループは精力的に活動しており、その努力と成果が評価された。また、今後の活動方針・内容について了承された。
(ア)データ分析ワーキング・グループ(WGDA)
主にNEA1データベースを用いて、予備的な、問題の所在、傾向把握に関する分析・評価を行う。発電所で行われている良好事例が、分析に含められることもある。現在実施中又は予定されている分析テーマは、@付帯作業(Services:保温材作業、足場作業、及びその他付帯作業)、A燃料取替作業、B蒸気発生器取替作業、C停止期間と燃料サイクル期間であり、また、D廃炉(又は廃炉にむけた停止中)関連のデータが蓄積されてきていることから新規テーマに上げられている。
(イ)ソフトウェア開発ワーキング・グループ(WGSD)
汎用ソフトであるマイクロソフト製ACCESSへの転換に取組んでいる。

NRCは昨年ISOEに参加して以来、ISOEデータベースを規制目的に利用することに興味を持っている。このためにはソフトウェアー開発に関するQA上の問題を解決する必要があり、詳細をNARTCがNRCとの間で詰めている。ただし、NRCが要求するQAに関する事項を米国以外の全ISOEデータベースに適用する必然性はなく、必要なQA手順の改良はWGSDに提案されその内容に応じて採否が検討される。
(ウ)NEA2指標ワーキング・グループ(WGNEA2)
放射線防護上の類似プラントを特定するために使用されるNEA2指標の選定作業はほぼ完了段階にある。これらの指標は、現状のデータベース項目に含まれているか、又は、参加電力から容易に入手できることを考慮に入れて選定された。これらの指標リストは、PWR、BWR及びCANDUオーナズ・グループにコメントを求めている段階にある。

NEA2指標は、機器と材質に関する指標、一次系水化学に関する指標及び動的な指標の3つのカテゴリーに分けられているが、運営会合においては、今後の作業を進めるため暫定的な承認が得られた。WGNEA2主査及び事務局によりコメントが集約・処理された後、幹部会へ提案され承認を受けることとなる。
3 各国からトピックスの報告
ドイツ:PWRの停止時における良好事例が報告された。圧力容器上蓋を取り外す際に一次系からの空気汚染が発生する。放射能濃度が落ち着くまで、絹製のバルーンで覆うことにより空気汚染を防ぐことができる。格納容器内空気清浄機の運転は通常10時間程度必要だが、数時間に短縮でき、クリチカルの短縮に繋がる。

アメリカ:最近、資格を持った潜水夫がサプレッション・プールに潜って作業している際に、ヘルメットが当たったためエア・ホ−スが外れた。10分後に救出されたときには意識不明であり、結局死亡した。ヘルメットの構造に問題が見られ改善が必要であった。放射線防護における危機管理・緊急訓練の面で大きな教訓を残した。
4 1999年度の目標として以下の9項目が選定され、
  活動計画とあわせて承認された。
・1998年度のNEA1データの収集
・MADRAS及びNEA1データベースに対する変更の完了
・1998年度ISOE年度報告書の発行
・NEA2指標ワーキング・グループの提言に基づくNEA2データベースの検討
・NEA3データベースの活用推進
・ISOEALARAシンポジウムの開催
・技術出版物の発行
・ISOEホーム・ページ情報の構築と調整
・ISOE参加メンバーの増加