運営会合
ISOE第9回運営会合

首記会合が、平成11年10月27日、29日に、OECD本部(パリ)で実施された。出席者は議長の Mr. Pio CARMENA SERVERT(スペイン)始め14カ国から36名であった。日本からは、東京電力、アジア技術センターが参加した。
会合では、ISOEの1999年度活動状況と2000年度の目標及び活動計画に関する審議が行われ、承認された。

以下にトピックスを紹介する。

1.1999年度活動の達成状況
@ 1998年度ISOE年次報告書及び技術出版物が発行された。
A ISOE 2 指標作業グループはISOE 2 データベースの検討を行ってきたが、新指標の作成を完了した後、解散した。ISOE 1 とISOE 2 は、新データベースISOE DATとして統合される予定。
B ISOE 3 データベースの活用推進のために、欧州技術センターがISOE 3 データベースに含まれている情報の要約を作成した。
C 放射線管理マネージャのためのISOE-ALARAシンポジュームが、北米技術センターにより実施された(1998年2月、米国オーランド)。
D ISOEホーム・ページについては、NEAのホーム・ページ内容が更新され、最新のリンクが張られた。
2 ワーキング・グループの活動
ソフトウェアー開発作業グループの報告
アクセス97ベースのISOE 1 及び ISOE 2 統合データ入力様式を作成した。これは汎用ソフトベースであり、表示言語の変換が容易になる。今後試験を行い、2000年のデータ収集(1999年データ)から使用する予定。一方、ISOE 3 データの活用のため、新報告様式と入力・検索ソフトの開発についてデータ分析作業グループと共同で検討を進め、次回の運営委員会に提案することになった。また、幹部会で、インターネット上でのISOE 3 データベースの利用可能性について検討することが承認された。
データ分析作業グループの報告
ISOE年度報告書の構成、記載内容について検討を行った。第8次年度報告書はこの様式に依っている。ISOE 2 データベース質問票については、1999年2月にBWR及びPWR質問票の試験的な記入を依頼し、10国から返答が得られた。コメントを反映し提案書をまとめた。
3 IAEA及び北米技術センターからの報告
IAEA地域技術センター:
現在アジア地域(中国、韓国、パキスタン)に対して原子力発電所の職業被ばく管理の改善を目的とした、訓練コースの実施、ワークショップの開催等を行っている。一方、放射線管理教育ソフトRAIDORのインターネット化を進めている。これにより、各種言語への転換が可能となる(中国から要望があった)。
北米地域技術センター:
・参加電力(スポンサー)が自由化での厳しい競争環境下にあることから、被ばく低減・コスト低減等の成果に直結した活動が要求されている。
・過去22年間のISI実績の評価を行い、2年サイクルから10年サイクルへ延長できた。
・遅れていたホームページが開設された。ホームページを利用し、ISOEデータの収集・検索及び被ばく関連情報の提供をパスワードセキュリティを掛けて行うことを計画している。
4 各国からトピックスの報告
参加各国から被ばく実績・傾向と、被ばくに係わるトピックス(実績及び計画)が報告された。トピックスとしては、規制撤廃、民営化と電力再編、反原子力に係わる政治状況(スウェーデン、ドイツ、ベルギー等)、ICRP1990年勧告を取入れたEU閣僚理事会指令の適用(EU加盟15か国は、EU閣僚理事会指令に従った法令改正を2000年5月13日までに行う義務がある)等が多かった。報告内容は、1999年度報告書に掲載される。

フィンランド:
燃料取替停止期間の短いことで定評があるが、1999年の実績は、BWRのオルキルオト1号機8日、2号機10日(いずれも最短記録)、PWRについてはロビーサ1号機19日、2号機20日であった。
米国:
規制緩和、エネルギー市場競争の中で、原子力発電は、信頼性、安全性、経済性を強く求められているが、good management、well trained workforce を持ったところしか生き残れないという。TMI 1号機では、720日の連続運転を達成、ドレスデン3号機の燃料取替停止は、28日。リスク・ベース(Risk-Informed, Performance-Based Approach)の点検基準に向かって官民一体となって取り組んでおり、点検周期を伸ばしている。ICRP1990年勧告を取入れる法令改正の動きはないが、電力会社は自主的に発電所従事者の年線量を20ミリシーベルトに制限するようにしている。
日本:
福島第一のシュラウド交換実績(3号機での経験を踏まえ、2号機では期間、線量とも約3割の削減を達成した)、ICRP1990年勧告の取入れに関する放射線審議会意見具申に基づく法令改正案の問題点、及びJCO東海事業所の臨界事故の概要についてOHPを用いた紹介があった。JCO事故について多くの質問があったが、電事連作成の臨界事故に対する日本の電力の取り組みに関する英文パンフレットを配布し回答した。
5 米国における新パフォーマンス・インディケータに関する発表
米国NRCがパイロット・プロジェクトとして進めている、新原子炉監査プロジェクトにおける「職業被ばく安全コーナーストーン」のパフォーマンス指標と検査は以下のとおり。

a パフォーマンス指標(下記の件数)
・高線量区域(>1000mrem/hr)におけるパート20又は技術仕様書違反 ・特別高線量区域におけるパート20又は手順書違反 ・計画外被ばくに至った事象
b パフォーマンス指標計算の留意点
・違反事例 区域の未設定、立入り管理不良(施錠、監視員)、鍵の管理不良、非許可者による立入り、立入り時の被ばく測定不良等 ・違反とならない事例 低線量区域(<1000mrem/hr)における事例…基本検査の対象、重大でない表示ミス、重大でない鍵管理ミス、被ばくに繋がらない管理又は手順上の問題 (バリアー喪失の結果計画外被ばくを生じた)計画外又は管理外の事象例; 線源又は場所の認識ミス、立ち入り管理不良、不適切な被ばくモニタリング・サーベイ、手順書不備・不適切な訓練等に起因する作業上の問題
c 検査事項(パフォーマンス指標以外の評価項目)
低線量区域(<1000mrem/hr)における立ち入り管理と作業、放射線防護上重要な作業に対するALARAの計画と管理、高線量区域における監視計器、放射線業務従事者の作業、問題の発見と解決
6 ISOE規約の承認と参加更新
昨年の運営委員会で、@IAEAが共同事務局としてISOE活動に関与する、A幹部会は、年1回の運営委員会の間に、運営委員会に代わり適切と考えられる事項について検討承認を行う、等が提案され、変更の趣旨は了承された。その後、両事務局間での調整が終了し、今回、新規約が承認された。 前回規約は1995年1月1日から4年間の期限付きで承認されており、新規約の下での参加更新が必要となる。なお、今回の新規約の有効期限は、2003年12月31日までの4年間である。
7 2000年のISOE活動計画
2000年のISOE活動として、以下の内容について引き続き活動していくことが承認された。
@参加メンバーの増大
Aデータ収集と管理
B発行物
・1999年度報告書(7月発行)
・技術報告書「原子力発電所における放射線防護マネージャのベスト事例」の作成(2001年に発行予定)。
・インフォーメーション・シート
C国際 ISOEワークショップの開催
・国際 ISOE ALARAシンポジューム(スペインTarragona;4/4〜4/7)
・北米地域ALARAシンポジューム(米国オーランド;1/23〜1/27)
DISOEデータ収集及び検索用ソフトウェアーの開発
Eホームページの定期的な更新 F今後の検討項目
・放射線関係技術の良好事例
・放射線源の低減技術マニュアル
・公式線量計:電子式 vs.TLD
・放射線防護及び訓練の最適化
・最適化における所外会社の役割
・規制撤廃と規制の最適化