運営会合
ISOE第10回運営会合
首記会合が、平成12年(2000年)11月8日、10日に、IAEA本部(ウィーン)で実施された。出席者は議長の Mr. Pio CARMENA SERVERT(スペイン)始め18カ国から42名であった。日本からは、東京電力、アジア技術センターが参加した。 会合では、ISOEの2000年度活動状況と2001年度の目標及び活動計画に関する審議が行われ、承認された。
以下にトピックスを紹介する。
1.2000年度活動の達成状況

(1)ISOE参加の更新:
全てのメンバーが新しい規約を承認し、参加を更新した。新規約での活動は、2003年12月31日まで、4年間有効となる。
(2)幹部交替:
年毎に行われる、電力メンバーからの次期議長の選出があり、スェーデン・バーセベック発電所のLindvall氏が選ばれた(これ以外に規制当局メンバーから任期3年の副議長が選ばれるが、昨年米国NRCのTrottier 女史が選出されている。)。また、前次期議長のBreznik氏が議長に昇格し、現議長のServert氏は前議長として引き続き幹部会に留まる。
(3)作業グループの更新:
データ分析及びソフトウェア開発の2つの作業グループの規約を2年間延長することが承認された。作業グループメンバーの留任、改選が行われた。
(4)ISOE参加状況:
ロシアの14基の運転プラントと4基の廃止プラントが新たに参加した(規制当局は未参加)。さらに、スロバキアから2基の運転プラント、リトアニアと南アフリカの規制当局が参加した。
(5)データ収集及び管理
・ 1999年度ISOE1データの収集: ACCESSでの新入力ソフトによるデータ収集を開始した。(一部未入手データ有り)
EDFは、今年中に詳細な作業/タスクデータを追加提供する予定である。
・ データ配布: 全てのISOE3データを含むASPIC(ISOE3検索ソフトであるが、検索機能が限定されている。データベース自体も特殊であり、汎用ソフトでは扱えない)ファイルをメンバーに送付した。ISOE1データについては、ISOEDATデータベースファイルとしてMADRAS検索ソフトとともに、年2回のデータ配布を行った(8月及び10月、MADRASのバージョンはそれぞれ、3.2と3.3)。また、配布媒体を、これまでのフロッピィからCD-ROMに変更した。
(6)発行物
@ 1999年度ISOE年度報告書を10月に発行した。
A 「原子力発電所における放射線防護マネージャのベスト事例」レポートの作成: 北米技術センターから提案があった標記レポートを作成するため専門家グループを設置することを承認した。レポートには以下のトピックが含まれる。
・ 組織と責任
・ 通常運転時の管理
・ 定検時管理
・ 放射線防護と緊急時対応
・ リスクベース規制の経験
・ 線量の最適化
・ 放射線管理マネージャと公衆、マスコミ及び地域との関わり
専門家グループ設置のための規約を、10月17日CRPPHに上申した。
B 2000年におけるインフォーメーション・シートの発行(8件)
なお、アジア及び欧州技術センターではインフォーメーション・シート(一般配布用)をホームページに掲載しており、他センターでも実施すべきとの意見があった。
(7)国際ISOEワークショップの開催
・ 国際ISOE ALARAシンポジューム(スペインTarragona; 4/4〜4/7)
発表論文は欧州技術センターのホームページに掲載されている。
・ 北米地域ALARAシンポジューム(米国オーランド; 1/23〜1/27)
(8)データ分析
・ IAEAは廃止措置関係のデータ項目の見直しを行っている。この結果はISOE D入力様式の検討に供される。
・ データ分析作業グループから、ISOE10年誌の作成が提案された。また、ISOE3の新様式が提案された。
(9)ソフトウェア開発
@ ISOE1入力ソフト: 欧州技術センターによりACCESSでのISOE1入力ソフトが作成された。入力帳票E(作業に関する線量)に作業理由項目が追加された。また、作業を構成するタスクに対し複数のサブタスクを入力できるようにした。
A MADRAS(検索ソフト): ユニット単位での分析機能を追加した。
B ISOE2入力ソフト: PWR及びBWR各1基の入力データが提供され、欧州技術センターでの入力確認テストに使用された。また、ISOE1との統合データベース(ISOEDAT)の仕様を纏めた。
(10)ホームページ内容の協調と定期的な更新
欧州技術センターでは、ワークショップの発表論文の内著者の了解を得られたものを掲載している。他センターも同様な計画を持っている。
2.2001年のISOE活動計画
技術センター及び作業グループからの提案並びに運営委員会での議論を踏まえて、以下の計画が承認された。
(1)ISOEへの参加
・ 新規メンバーの加入に努める。
(2)データ収集と管理
@ISOE3レポート収集の推進
・ISOEDATデータベース及びソフトウェアの改良; 承認されたISOE3レポートの収集項目及びデータベース仕様を、MS ACCESSでのISOEDATデータベースに組み入れる。また、収集・検索ソフトウェアを作成する。
・WANOとの協調; WANO へのISOE3レポートの提供についてWANOと調整を図る。WANOではISOE3相当の情報交換を行っておらず、ISOE3情報の活用において双方にメリットがある。WANOのインターネットシステム(メンバー内でクローズしており、公開されてはいない)へのISOE3データの提供が可能か、WANOパリセンターを通して調整を行う。
・各国のコーデネータは、数件以上のISOE3レポートを報告するよう調整を行う。
・優秀ISOE3レポートを毎年のISOE ALARAワークショップにおいて顕彰する。
A2000年のISOE1データの収集
B新入力様式(ソフトウェア)によるISOE2データの収集
CEXCELファイルの提供による、各国コーディネータへのISOE冊子作成の支援(要望による)
(3)発行物
・2000年度報告書: 9月発行
・技術レポート: 北米技術センターによる「原子力発電所における放射線防護マネージャのベスト事例」レポートの作成
・インフォーメーション・シートの発行: 年次分析(3件)、個別分析(13件)を予定。
(4)国際ISOEワークショップの開催
・2001年国際ALARAシンポジューム(米国カルフォルニア州アナハイム 2/4〜2/7)
・第3回EC/ISOEワークショップ(2002年、スロベニアを予定)
計画委員会を設置し、準備を開始する。
(5)データ分析
・「ISOE10年誌」の発行;
ISOEが発足して10年が経過したのを契機に、ISOE活動の推進及び原子力発電所における放射線防護に対する有効性を実証するため、これまでの経験と実績を纏める。データ分析作業グループの元に作業を行うが、ドラフトを1〜2名の放射線マネージャ、技術センター及び協同事務局からなる少人数のグループにより作成する。2002年の発行を目指す。
・データ分析作業グループでは「線量指標」の検討を行う。
なお、作業グループ議長のC.Breeschが異動により議長を続けられないため、新議長の人選を事務局から打診することとなった。
(6)ソフトウェア開発
・ACCESSベースのISOE3データベースと入力ソフトの作成: ISOE2の開発に優先するよう、計画変更された。
・ISOE1入力ソフトの改良(工事・作業項目に対するタスクリストの追加、翻訳言語の追加)
・MADRAS(検索ソフト)の改良: 検索機能の追加
・新ソフトの使用マニュアルの整備。なお、必要に応じ、欧州各国ユーザへの教育を行う(欧州技術センター)。
・ISOE2用の入力ソフトの作成
・ISOEDAT変更に対応した日本語入力・検索ソフトウェアの改修
(7)今後の検討項目
・公式線量計: 電子式 vs.TLD
・放射線防護及び訓練の最適化
・放射線防護最適化における所外会社の役割
・規制撤廃と規制の最適化
・ICRP60正当化及び最適化の適用
 調査を行い、結果を欧州ニューズレターとして2001年春に発行する。
・集団線量の計算基準(報告レベル)