福島第一原子力発電所事故に係わる関連情報
事故収束・廃炉に向けて
作業概要1
2号機の中央制御室

福島第一原子力発電所では、初期の緊急対策、炉心冷却安定化の作業及びその後の復旧作業が進められた。これらの作業における環境は、線量が高く、放射性物質による汚染のレベルも高いものであり、作業員の放射線防護のため、作業環境や保護具の整備、除染や瓦礫の除去、作業の機械化等の被ばく低減対策がとられた。

作業環境の改善

放射線関係作業時の安全性を向上するために、エアフィルター付き個人用防護スーツおよびマスクなど、作業環境に応じて適切な保護具が作業員に提供されている。また、夏期には熱中症対策として、クールベスト、ブロア付マスク、首筋用保冷剤が使用された。

首筋用保冷剤(水冷)装着例
放射線作業員の訓練

構内に複数の休憩所が設置されたほか、救急医療室も開設され、緊急被ばく医療の専門医師が診療に当たった。

救急医療室
休憩所の例

放射性物質の放出と建屋の爆発の影響により、復旧作業に従事する作業者が多数滞在する免震重要棟内も汚染された。このため、局所排風機の導入や入退域時の汚染持ち込みを防ぐための仮設ハウスの設置などの被ばく低減対策がとられた。

免震重要棟入口(出入管理用ユニットハウス)
敷地内汚染の管理
遠隔操作による無人重機

大規模な放射性物質の放出と建屋の爆発は、敷地全体に放射性物質による汚染と高い線量をもたらして作業環境を悪化させ、事故の収束と復旧作業を行う上で障害となった。屋外の高線量瓦礫の撤去作業においては、遠隔操作による無人重機が活用され、被ばく低減が図られた。

線量率および大気中汚染の放射線モニタリングは、継続的に行われている。敷地内の空気汚染の測定は、車両内のエア・サンプラーを用いて行われている。

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福島第一原子力発電所における敷地内線量率の測定地点の地図および線量率(µSv/h)

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ロボットの活用

原子炉建屋内は非常に線量の高い区域が多く、復旧作業を進める上で必要な作業を行うために、必要に応じてロボットによる線量測定等が実施された。クインス、パックボット、サーベイランナー、タロン、ボブキャットなどのロボットが使用された。

パックボット
クインス
ホットスポットの特定
1・2号機主排気筒底部
非常用ガス処理系配管
接合部付近での測定の様子

2011年8月初め、局所的で非常に高い放射線場が数ヵ所特定された。1・2号機主排気筒の底部で、伸縮式検出器で測定された非常用ガス処理系配管接合部付近の線量率は10Sv/h以上であった。 1号機タービン建屋2階の非常用ガス処理系トレイン室への入口付近の線量率は5Sv/hを上回ると判定された。

敷地内瓦礫汚染水の管理

2号機、3号機のタービン建屋等の滞留水(汚染水)は、集中廃棄物処理施設に移送された。東京電力は、サリー、キュリオン、アレバなどのセシウム吸着・除染処理施設や塩分処理施設を設置して滞留水を処理した。処理された滞留水を保管するための処理水受け用タンクも順次設置された。

セシウム吸着装置-SARRY
SARRYの設置作業

構内貯留水等に含まれる放射性物質濃度をより一層低く管理するため,多核種除去設備の設置が行われている。

多核種除去設備 機器設置の様子