福島第一原子力発電所事故に係わる関連情報
放射線被ばく
放射線被ばくのレビュー

福島第一原子力発電所における緊急時作業に従事している作業員の、事故から2011年12月末までの放射線被ばくの状況は、約19,600人の作業員に対し、平均で11.55mSvの被ばくである。100mSv以上の作業員が167人おり、このうち、6人は線量限度の250mSvを超えていた。
東京電力は、継続的に作業員の被ばく線量を評価している。更新情報はウェブサイトhttp://www.tepco.co.jp/cc/press/index-j.htmlからダウンロードできる。

被ばく事例

● 2011年3月24日
3号機のタービン建屋の1階および地階に電気ケーブルを敷くための作業に関わっていた3人のうち2人の足に放射性物質が付着。これは短い靴で放射性の滞留水に踏み込んだことによるものである。この作業では、170mSvを超える被ばくがあったと報告されている。
東京電力は被ばくした皮膚の除染を行ったが、ベータ線熱傷の可能性があると判断され、2人は福島県立医科大学付属病院に搬送された。
2011年3月25日、3人全員が放射線医学総合研究所に搬送され、到着後すぐに健康診断などを行った。
3人は2011年4月11日にも経過観察のために再検査され、全員健康に問題のないことが確認された。

● 2011年4月27日
東京電力は、3ヵ月にわたる放射線被ばくを確認する過程で、1人の女子社員が3ヶ月間で法律で規定された線量限度(5mSv/3ヶ月)を上回る、約18mSvの被ばくをしていることを確認した。また、作業に従事している人の一部は放射線作業員として指定されていなかった。
これを受け、原子力安全・保安院は東京電力に厳重注意を与え、下記を行うよう指示した。
・被ばくの原因調査
・いかなる再発も防止する対策の策定
・福島第一原子力発電所における放射線管理体制の検証
・指摘事項を踏まえた適切な対策の策定

 2011年5月1日には、他の女性職員1名も線量限度を上回る、約7.5mSvの被ばくをしていることが確認された。 両名とも、医師による診察の結果、健康への影響はないことが確認された。

● 250mSvを超える被ばく
 事故直後、中央制御室等で計器の監視等にあたった運転員や電気・計装系の技術者など東京電力の職員6名が放射線業務従事者の線量限度の250mSvを超えて被ばくした(最大678.8mSv)。以下の要因が重畳して放射性物質を取り込んだものと推定されている。なお、健康診断や医師による診察が定期的に実施されているが、健康への影響は見られていない。
・マスクの適切な選択や装着、配備など、放射線管理上の防護措置を的確に行うことが非常に困難な状況であったこと。
・異常事態収束のため長時間中央制御室で作業を行うにあたり、中央制御室で飲食せざるを得なかったこと。
・マスクの装着にあたって眼鏡のテンプルにより隙間ができてしまった可能性があること。
・1号機原子炉建屋上部爆発など不測の事態に即応した対応ができない状況であり、空気中放射性物質濃度が高いと推定される場所で作業を行ったこと。
・作業を安全に行うために短時間ではあったがマスクと顔面との間に隙間を作ってしまったこと。